休日でも疲れが取れない?疲労回復におすすめの栄養素と献立を紹介

食と健康

休日に休んだはずなのに、休日明けに「なんとなく疲れている…」「体調が回復しなかった…」と感じたことはありませんか?
しっかり寝たはずなのに、朝起きても体が重くてやる気が出ない。日々がまた始まったのに、仕事や家事、趣味に取り組む気力が湧いてこない。そんな経験を、多くの方が持っているのではないでしょうか。

実はその原因、休日の「食事」にあるかもしれません。
とはいえ、せっかくの休日くらい好きなものを食べたいという気持ちはよくわかります。
しかし、食事の内容に少しだけ栄養を意識してみると、疲れが取れやすくなります。身体は食べたものでできます。好きなものを食べることも心に大事ですが、もしも余裕があれば、栄養を意識した疲労回復ご飯に挑戦してみませんか?

なぜ休日しっかり休んだつもりでも、疲れが取れないのか?

休日たくさん寝たり、特につかれるようなことは何もしていないのに、休日明けに疲れが取れないときの一般的な原因を紹介します。
大きく分けると3種類あり、「生活リズムの乱れ」「精神的な疲労」「栄養バランスの乱れ」です。

生活リズムの乱れによる疲労

休日になると、つい生活リズムが乱れがちになりませんか?
寝すぎや食事抜き、暴飲暴食などによって生活リズムが乱れると、体調や疲労感に大きな影響を与えます。 特に、血糖値や自律神経の不安定化が「だるさが取れない」と感じる原因となることがあります。

私たちの体には、それぞれの身体に合わせた体内時計(サーカディアンリズム)があります。
休日と平日で起床時間や就寝時間が大きくずれることで、この体内時計が乱れてしまいます。そうすると、睡眠ホルモンやストレスホルモンの分泌バランスが崩れ、深い睡眠が得られにくくなります。
睡眠の質が低下することで、身体の疲労回復が不十分となり、翌日以降の疲労感が蓄積していくことになります。

また、不規則な食事時間は消化器官に大きな負担をかけます。
いつもと大幅に食事時間が変わることで、血糖値が急激に上昇・下降し、これも疲労感やだるさの原因となります。

運動不足やストレスによる影響

疲労には肉体的疲労と精神的疲労の2種類があります。特に運動不足やストレスは精神的疲労につながりやすいとされます。
適度な運動が不足すると、まず血行が悪くなり、疲労物質が体内に蓄積されやすくなります。また、運動をせずに1日中ゴロゴロしたり同じ姿勢でいることで、筋肉の緊張が解けずに固まってしまい、肩こりや腰痛などの症状を引き起こすこともあります。 また、適度な運動はストレスホルモンの分泌バランスを整えます。つまり、逆に運動不足によってストレスが蓄積しやすい状況になっている可能性もあります。

栄養バランスの乱れが疲労を助長

休日に不規則・偏った食事を取ることで、疲労回復に必要な栄養素が不足しがちになります。

身体は、毎日傷ついた細胞を修復して疲労から回復します。栄養バランスが乱れることで、この細胞の修復プロセスが正常に機能しなくなってしまう可能性があります。
例えば、主要なエネルギー源となる糖質・脂質が不足すると、体は筋肉を分解してエネルギーを作り出します。筋肉が落ちると代謝も悪くなりますし、疲れやすさにつながります。

また、細胞の修復に必要なタンパク質や、エネルギー代謝を助けるビタミンB群が不足すると、疲労回復のスピードが遅くなります。 さらに抗酸化物質(ビタミンC、E、ポリフェノールなど)が不足すると、酸化ストレスが増加して細胞のダメージが蓄積されていきます。
このように、身体の中では様々な栄養素が疲労回復に影響しています。つまり、栄養バランスが偏ることで「効率的な疲労回復」ができなくなります。

疲労回復に効果的な「栄養素」に関する基本知識

どの栄養素も身体にとって重要ですが、ここでは特に「疲労回復」に重要な影響を及ぼす栄養素を4種類紹介します。

体の修復・回復に必須な「たんぱく質」

たんぱく質は、私たちの体の約20%を占める重要な栄養素です。
筋肉や内臓、皮膚、髪の毛など、体の様々な部分を作る材料となるだけでなく、疲労回復にも重要な役割を果たします。

食品では、肉(鶏胸肉)、魚(マグロやカツオなど)、大豆製品などに多く含まれています。
特に鶏胸肉に含まれるイミダゾールジペプチドは抗疲労効果が科学的に認められていると言われます。鳥が疲れずに飛ぶことができるのも、翼の付け根にイミダゾールジペプチドが豊富に含まれているからとされています。

1日に取るべき量は?

日本人の食事摂取基準(2025年版)を参照にした、1日にとるべき量を紹介します。

男性(g/日)

年齢区分推奨量
18~64歳65g
65歳以上60g

女性(g/日)

年齢区分推奨量
18~64歳50g
65歳以上50g

「ビタミンB群」はエネルギー代謝に重要

ビタミンB群は、8種類のビタミンの総称で、これらは互いに協力し合いながら、身体のエネルギー代謝を支えます。

ビタミンB群の中でも、ビタミンB1は糖質をエネルギーに変換する際の重要な補酵素で、豚肉、うなぎ、玄米に豊富に含まれます。また、ビタミンB2は脂質の代謝を促進し、細胞の再生や成長を助けるとされています。ビタミンB2はレバー、納豆、乳製品に多く含まれます。さらに、ビタミンB6はタンパク質の代謝を助ける効果があり、神経伝達物質の合成にも関与しています。マグロ、カツオ、バナナに豊富に含まれています。

ビタミンB群とタンパク質は、互いに助け合う関係の栄養素です。
まず、ビタミンB6は先ほども紹介した通りタンパク質の代謝(消化・吸収)を助けるため、一緒に摂取することで、両方の栄養素の吸収率が向上します。逆に、ビタミンB群が不足すると、タンパク質の利用効率が低下し、疲労感にもつながります。一般的に、タンパク質を多く含む食品(肉、魚、大豆製品)には、ビタミンB群も豊富に含まれます。

注意すべきなのは、ビタミンB群は水溶性で、体内に蓄積できないため毎回の食事でこまめに摂取することが重要だということです。また、アルコールの摂取はビタミンB群の消費を増やしますので、普段からお酒などを好む方は注意して摂取してください。

1日に取るべき量は?(ビタミンB1)

男性(mg/日)

年齢区分推奨量
18~29歳1.1mg
30~49歳1.2mg
50~64歳1.1mg

女性(mg/日)

年齢区分推奨量
18~29歳0.8mg
30~49歳0.9mg
50~64歳0.8mg

1日に取るべき量は?(ビタミンB2)

男性(mg/日)

年齢区分推奨量
18~29歳1.6mg
30~49歳1.7mg
50~64歳1.6mg

女性(mg/日)

年齢区分推奨量
18~64歳1.2mg

1日に取るべき量は?(ビタミンB6)

男性(mg/日)

年齢区分推奨量
18~64歳1.5mg

女性(mg/日)

年齢区分推奨量
18~64歳1.2mg

体の機能を支える縁の下の力持ち「ミネラル」

ミネラルは、私たちの体の機能を正常に保つために必要な栄養素です。 たとえば鉄は、血液中のヘモグロビンの主要な構成成分です。血液によって全身に酸素を運ぶ重要な役割を担っています。

また、マグネシウムは多くの酵素の働きを助ける重要なミネラルです。不足すると疲労感や筋肉のけいれんを引き起こすこともあります。
マグネシウムは神経の興奮を抑え、リラックス効果をもたらすため、精神的な疲労回復にも効果的です。ナッツ類、海藻類、豆類、玄米などに豊富に含まれています。

さらに、亜鉛は、タンパク質の代謝や細胞の再生に必要なミネラルです。
タンパク質の代謝を助け、免疫機能の維持にも関わっているため、欠かせない要素です。牡蠣、レバー、牛肉、ナッツ類などに多く含まれています。

ただし、ミネラルは過剰摂取による副作用のリスクもあるため、食事からの摂取を基本として、サプリメントは補助的な役割として考えるのがよいでしょう。

「炭水化物」はエネルギー源の王様

炭水化物は、かなり有名な栄養素です。知っての通り、身体の主要なエネルギー源として重要な役割を持ちます。
特に脳や神経系は、炭水化物から作られるブドウ糖を唯一のエネルギー源として利用しているため、適切な摂取が不可欠です。

炭水化物が不足すると、身体に様々な影響が発生します。例えば、慢性的な疲労感や倦怠感、集中力の低下、イライラ・不安感などです。また、炭水化物が不足すると脳機能にも影響があり、思考力や判断力の低下や注意力の低下、さらにはストレスの増加にも影響します。

また、エネルギーが足りないと身体は筋肉を分解します。そうなると、基礎代謝が低下します。そのため、炭水化物は絶対にしっかり取っておきたい栄養です。 基本的には1日の総カロリーの50~60%を炭水化物から摂取するのが良いでしょう。

栄養たっぷり!休日におすすめの疲労回復をテーマにした献立例(3食+おやつ)

朝食

  • 玄米ご飯と味噌汁
  • 納豆や卵などのたんぱく質
  • サラダ
  • フルーツ(ビタミン・ミネラル補給)

朝食は、1日の活動のはじまりの重要な食事です。
玄米ご飯は、白米と比べて食物繊維・ビタミンB1が豊富で、血糖値の急上昇を防ぎます。味噌汁は発酵食品である味噌から酵素を、具材の野菜からビタミン・ミネラルを効率的に摂取できます。

納豆は植物性タンパク質が豊富で、血液の流れを改善します。卵は良質なタンパク質な上に、多様な栄養素を含む「完全栄養食品」と言われています。生卵でもいいですし、目玉焼きや卵焼きでも大丈夫です。

サラダで野菜を摂取しましょう。特にサラダでは、ビタミンCなどの熱に弱い栄養素を含んだ野菜を選択することで、吸収効率が良くなります。 フルーツはビタミンC・ポリフェノールなどの抗酸化物質が豊富ですが、量に注意して摂取するのがおススメです。

昼食

  • 鶏胸肉のグリル
  • 雑穀入りご飯
  • 温野菜サラダ+レモンドレッシング

昼食は、午後の活動に必要なエネルギー・栄養素を補給する大事な食事です。
まず、鶏胸肉にはイミダゾールジペプチドが含まれますので、疲労回復にはぴったりと言えるでしょう。

また、雑穀入りご飯は、複数の穀物が持つ異なる栄養素を同時に摂取でき、食物繊維も豊富です。腸内環境を整え、血糖値の急上昇を防ぎます。

温野菜サラダは加熱することで野菜のかさが減り、より多くの量を摂取できます。さらにレモンドレッシングを加えることで、クエン酸による疲労物質の分解を促進し、ビタミンCの抗酸化作用も期待できます。

間食

  • ヨーグルトとブルーベリー
  • ナッツ類

間食は、次の食事までのエネルギー補給に重要です。ちなみに、おかなが減らない場合無理に間食を取る必要はありません。

ヨーグルトは乳酸菌が腸内環境を整え、カルシウムやタンパク質も取ることができます。ブルーベリーはアントシアニンなどの抗酸化物質が豊富で、デジタルデバイスの見過ぎなどによる眼精疲労にも効果的です。

ナッツ類はかなりメジャーな間食で、オメガ3脂肪酸などの良質な脂質を含んでいます。量に注意しながら摂取するのがおススメです。

夕食

  • 少量の白米
  • 白身魚のソテー
  • きのこと野菜の炒め物
  • 根菜のスープ
  • 少量の発酵食品

夕食は、1日の疲労を回復し、翌日に備えるための重要な食事です。夕食後は一般的に活動量が少ないので、炭水化物を中心に全体的に量を控えめにすることで、胃の疲れを防ぎます。

白身魚は消化吸収が良く、就寝前の摂取に適したタンパク質です。また、魚に含まれるDHA・EPAなどの不飽和脂肪酸は血液の流れを改善し、疲労回復を促進します。

きのこ類はビタミンDや食物繊維が豊富で、免疫機能の維持に役立ちます。根菜のスープは食物繊維やミネラルが豊富で体を温める効果があります。 発酵食品は腸内環境を整え、栄養素の吸収を促進します。漬物やキムチ、チーズなどがおススメです。

季節によって旬の食べ物を取り入れるのもおすすめ

ここでは、紹介した疲労回復に効果的な栄養素を含むおすすめの食材を季節ごとに紹介します。

春のおススメ食材

食材栄養素・特徴
かつおタンパク質
あさりタンパク質
イカ(アオリイカ)タンパク質
新じゃがいもビタミンB群(特にビタミンB1)
新たまねぎビタミンB群
アスパラガスビタミンB群
菜の花ミネラル豊富

夏のおススメ食材

食材栄養素・特徴
アジビタミンB群、タンパク質、鉄分が豊富
ナスビタミンB12と共に赤血球を作る働き
うなぎビタミンB1、B2が豊富
スイカ水分補給と疲労回復に必要なミネラルが豊富
枝豆タンパク質、ビタミンB群など(記載補足があれば追記可)

秋のおススメ食材

食材栄養素・特徴(補足があれば追加可能)
タンパク質、ビタミンD、アスタキサンチンなど
さんまタンパク質、EPA・DHAなど
キノコ類ビタミンD、食物繊維、ミネラル
和梨水分補給、整腸作用など
さつまいも食物繊維、ビタミンC
ごぼう食物繊維、ミネラル
レンコンビタミンC、食物繊維、ポリフェノール

冬のおススメ食材

食材栄養素・特徴
タラ高タンパク・低脂質、ビタミンB群
牡蠣鉄分、亜鉛、ビタミンB12が豊富
ほうれん草鉄分、葉酸、ビタミンCなど
小松菜カルシウム、鉄分、ビタミンCなど

さらに疲労回復効果を高めるために気を付けるべきポイント

食事のタイミングを整える

規則正しい食事時間を守ることで、体内時計を整えることができ、効率的な疲労回復につながります。
特に朝食を抜くと、血糖値が不安定になりがちで、午前中の集中力低下・疲労感の抜けなさの原因となります。

また、夕食は就寝の3時間前までに済ませることがおススメです。
これは、消化活動が睡眠の質に影響を与えるためです。就寝直前に食事を取ると、消化器官が活発に働き、浅い睡眠となってしまう可能性があります。

調理法・献立を工夫する

調理法を工夫することで、栄養素の吸収率と消化のしやすさがかなり変わります。
特に、蒸す、茹でる、グリルなどの調理法を中心に選ぶことで、油の使用を抑えて食材の栄養素を効率的に引き出すことができます。

また、発酵食品は、毎食少量ずつ取り入れることで、栄養素の吸収率が向上し、腸内環境を整えます。

水分補給は量と質に注目する

適切な水分摂取はかなり大事な要素です。水分は、代謝や疲労物質の排出に重要な役割を果たします。1日を通して、こまめな水分補給を心がけましょう。
特に、「朝、起きた直後」「夜、就寝する前」の水分補給は、習慣化するのがおススメです。

また飲み物の種類も気を付けてみましょう。
緑茶には抗酸化物質が含まれており、疲労回復に効果的です。また、白湯を定期的に飲むことは内臓の働きを活発にし、代謝を促進します。
カフェインやアルコールの過剰摂取は、睡眠の質を低下させ、疲労の蓄積につながるため、量とタイミングに注意が必要です。

まとめ

休日に「疲労回復ができるかどうか」に、実は食事は大きく影響します。 「好きなものを食べよう!」と思う気持ちも大切ですが、ほんの少しだけ栄養バランスを意識することで、体も心も驚くほど軽やかに整います。

疲れがなかなか取れないときは、紹介したような「自分をいたわる食事」を意識してみてください。 栄養たっぷりのご飯は、身体的にも精神的にも元気を引き出してくれます。「休む」と「食べる」、この2つを組み合わせることで、休日明けの朝がきっと楽しみになるはずです。

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